「UDトラックスのクオンは、とにかく故障が多いと聞く」
「仕事で使うから、急な故障で止まってしまうのが心配だ」
「修理費用が高額にならないか、不安を感じてしまう」
このような声を聞くことは、決してめずらしくありません。
実際に、運送会社の整備担当者からも「故障の多さ」を指摘する声があります 。
重大な故障が発生した場合、修理費用が100万円を超えるケースも。
本記事では、クオンに多いとされる故障の具体的な内容や原因、そして対策を徹底的に解説します。
この記事を読むことで、クオンの故障に関する全ての情報を知ることができ、安心して日々の業務や車両選定、売却への判断ができるようになります。
記事のポイント
- クオンに「故障が多い」といわれる評判の真偽
- 故障が多いといわれる具体的な背景
- よくある故障事例と有効な対策
- 部位別の修理費用(概算)
- 故障を未然に防ぐ日常メンテナンス
- リコール情報の有無と確認方法
- 修理か売却かの判断基準
- 古いトラックでも高値がつく理由
- 中古車購入時の注意点
最悪?UDトラックスのクオンに「故障が多い」のは本当か?
UDトラックスのクオンには、「故障が多い」という評判がたしかに存在します。
しかし、その一方でドライバーからは運転のしやすさが高く評価されているのも事実です。
- オーナーの声が示す評判
- 運転のしやすさという別の評価
- 結論:二面性を持つトラック
クオンは、維持管理の難しさと運転時の快適性という二つの側面を持っています。
所有者と運転者で、トラックに対する評価が分かれる傾向にあるといえるでしょう。
オーナーの声が示す評判
クオンのオーナーや整備担当者からは、故障の多さを指摘する声が実際にあります。
「とにかく故障が多い」というレビューは、複数見受けられるのが現状です 。
- ラジエーターやサブタンクからの水漏れ
- アイドリングの不安定
- DPF(スス取り装置)の自動燃焼が頻繁にかかる
特に、エンジン関連や排ガス浄化装置に関する、不具合の報告が目立ちます。
これらの問題は、修理費用やダウンタイムに直結するため、経営上の懸念点となりやすいです。
運転のしやすさという別の評価
故障に関する厳しい評価とは対照的に、ドライバーからの評価は非常に高いです。
「ドライバー達は乗りやすいと好評です!」という声が、その事実を物語っています 。
- ハンドル操作が軽く扱いやすい
- キャブサスペンションが優秀で乗り心地が良い
- 洗練されたコックピットと座り心地の良いシート
長距離運転の疲労を軽減する快適な室内空間や操作性は、大きな魅力です。
日々の業務でハンドルを握るドライバーにとって、運転のしやすさは重要な要素となります。
結論:二面性を持つトラック
結論として、クオンは評価が二分されるトラックであるといえます。
運送事業者や整備士の視点では、故障の多さが大きなデメリットになります。
- 修理コストの増大
- 車両の稼働率低下
- 予期せぬ業務の遅延
一方で、ドライバーの視点では、運転の快適性が大きなメリットとなります。
故障のリスクを理解し、適切な対策を講じることが、クオンをうまく活用する鍵です。
クオンに「故障が多いといわれる背景」
クオンに故障が多いといわれる背景には、いくつかの具体的な理由が存在します。
特に、国土交通省へ多数のリコール届出がされている事実は見過ごせません。
- 頻発する国土交通省へのリコール届出
- 複雑化する現代のトラック技術
- 他社との比較における立ち位置
これらの要因が重なり合い、「クオンは故障が多い」という評判につながっています。
くわしく見ていきましょう。
頻発する国土交通省へのリコール届出
クオンの信頼性について語る上で、リコールの多さは避けて通れない問題です。
過去に何度も、大規模なリコールが国土交通省へ届けられています。
- 約1万1700台対象のワイパー制御プログラム不具合
- 約9700台対象の燃料リターンパイプ不具合
- 約2万7000台対象の駐車ブレーキ表示ランプ不具合
これらのリコールは、特定の部品やプログラムに設計上・製造上の問題があったことを示します。
多数の車両に共通する不具合が、故障が多いという印象を強める一因となっています。
複雑化する現代のトラック技術
近年のトラックは、環境性能と安全性能の向上のため、技術が高度に複雑化しています。
クオンも例外ではなく、多くの電子制御システムが搭載されています。
- 排出ガス発散防止装置(尿素SCRシステム)
- 車両マスター制御ユニット
- 運転者補助制御ユニット(先進安全装備関連)
これらの先進技術は、快適性や安全性を高める一方で、新たな故障の原因にもなり得ます。
特に電気系統やソフトウェアの不具合は、原因の特定や修理が難しい場合があります。
他社との比較における立ち位置
すべてのトラックメーカーが、現代の複雑な技術課題に直面しています。
海外メーカーであるスカニアでさえ、リコールを届け出るケースは存在します 。
- 設計の不十分さによる部品の強度不足
- 制御プログラムの不適切さ
- 配線の固定方法の不備による短絡リスク
しかし、クオンの場合、ブレーキや操舵といった重要保安部品に関わるリコールが散見されます。
このような事実が、他社と比較して故障への懸念を抱かれやすい状況を生んでいます。
クオンの「よくある故障と対策」
クオンで報告されている故障は、いくつかの系統に分類することができます。
それぞれの故障内容と、有効な対策を知っておくことが非常に重要です。
- エンジン・オイル系統の不具合
- 排ガス浄化装置(DPF・尿素SCR)の不具合
- トランスミッション(ESCOT)の不具合
- 電気系統の不具合
これらの知識は、予期せぬトラブルを回避し、車両を長く使うために役立ちます。
くわしく見ていきましょう。
エンジン・オイル系統の不具合
トラックの心臓部であるエンジン系統にも、いくつかの典型的な不具合があります。
オイル漏れや、エンジン制御の異常などが報告されている事例です 。
- ファンブラケットからのオイル漏れ
- 走行中にエンジンが停止する恐れ
- エンジン回転数が意図せず上昇する恐れ
対策として、始業前点検でのオイル漏れの目視確認が基本となります。
また、エンジンオイルの定期的な交換を怠らないことが、エンジンの寿命を延ばす上で不可欠です。
排ガス浄化装置(DPF・尿素SCR)の不具合
現代のディーゼルトラックで最も多い故障の一つが、排ガス浄化装置です。
DPFの詰まりや、尿素SCRシステムの不具合はクオンでも頻繁に発生します 。
- DPFの詰まりによるエンジンチェックランプ点灯
- 尿素水ポンプの故障による警告灯点灯
- 走行状況によるDPF自動再生の機能不全
DPFの詰まりを防ぐには、警告ランプ点滅時に速やかに手動再生を行うことが重要です。
尿素SCRシステムは、高品質な尿素水を使用し、タンク内を清潔に保つことが対策になります 。
トランスミッション(ESCOT)の不具合
クオンに搭載されている機械式オートマチックトランスミッション「ESCOT」も故障事例があります。
スムーズな変速ができなくなるなどの症状が報告されています。
- レリーズの動き不良
- システムからのエア漏れ
- 加速時に動力が伝わらない「滑り」現象
ESCOTの不具合は、専門的な診断が必要になるケースがほとんどです。
変速時の違和感や異音を感じた場合は、早めに整備工場へ相談することが賢明です。
電気系統の不具合
近年のクオンで特に多いのが、電気系統のトラブルです。
多数のリコールが、電気系統の不具合を対象としています 。
- オルタネータ電源配線の被覆損傷による発熱・発煙リスク
- 制御ユニットのプログラム不良による安全装備の不作動
- ブレーキシステムのエアバルブ凍結による作動不良
電気系統の故障は、突然発生することが多く、予防が難しいのが実情です。
リコール情報をこまめに確認し、自身の車両が対象の場合は速やかに修理を受けることが最善の対策です。
クオンの「修理費用(概算)」
クオンの故障は、修理費用が高額になる可能性があるため注意が必要です。
特に排ガス浄化装置関連の修理は、大きな経済的負担となる場合があります。
- DPF関連の修理費用
- 尿素SCR関連の修理費用
- その他の主要な修理費用
事前に費用の目安を把握しておくことで、万が一の際に冷静な判断ができます。
くわしく見ていきましょう。
DPF関連の修理費用
DPF(ディーゼル微粒子捕集フィルター)の修理は、内容によって費用が大きく異なります。
詰まりの度合いが軽ければ洗浄で対応できますが、交換となると高額です。
- DPFマフラーの新品交換:約100万円以上+工賃
- 専門業者によるDPF洗浄(リフレッシュ):約12.5万円~20万円
- DPF関連のメンテナンス作業(BGディーゼルケアなど):約5万円前後
DPFの警告灯を無視して走行を続けると、最終的に交換が必要になるリスクが高まります。
定期的な洗浄やメンテナンスで、高額な交換費用を回避することが重要です。
尿素SCR関連の修理費用
尿素SCRシステムも、DPFと並んで修理費用が高額になりやすい箇所です。
システム全体が故障した場合、100万円近い修理費がかかる事例も報告されています 。
- システム全体の修理・交換:最大100万円程度
- 尿素水ポンプやタンクの交換:約10万円~20万円
- アドブルー(尿素水)の補充費用(大型車):1回あたり約1万円~1.5万円
尿素水タンクに異物を混入させたり、粗悪な尿素水を使用したりすると故障の原因になります。
適切な管理を行うことが、結果的に修理費用を抑えることにつながるのです。
その他の主要な修理費用
排ガス浄化装置以外にも、トラックには高額な修理費用がかかる部品があります。
以下の表は、クオンの主要な修理・交換費用の目安をまとめたものです。
修理項目 | 費用目安(大型車) | 備考 |
DPFマフラー交換 | 約100万円 + 工賃 | 部品代のみ。工賃が別途必要 |
DPFマフラー洗浄 | 約12.5万円~20万円 | 専門業者による取り外し洗浄 |
尿素SCRシステム修理 | 最大100万円程度 | システム全体の故障の場合 |
尿素水ポンプ/タンク交換 | 約10万円~20万円 | 部品単体の交換費用 |
タイヤ交換(1台分) | 約30万円~40万円 | タイヤ本体、脱着・組み換え工賃含む |
これらの費用はあくまで目安であり、車両の状態や整備工場によって変動します。
日頃のメンテナンスを徹底し、大きな出費を未然に防ぐ努力が求められます。
クオンの故障を減らすための「日常メンテナンス」
高額な修理費用を避けるためには、日々のメンテナンスが最も効果的です。
特別な知識がなくても、ドライバー自身で実践できることが多くあります。
- 始業前点検の重要性
- DPFのセルフクリーニング
- 消耗品の定期交換
これらの基本的なメンテナンスを習慣づけることが、クオンの寿命を延ばす秘訣です。
くわしく見ていきましょう。
始業前点検の重要性
毎日の始業前点検は、故障の兆候を早期に発見するための重要な機会です。
エンジンルームや車両下回りをのぞき込み、異常がないかを確認します。
- エンジンオイルや冷却水の漏れの確認
- タイヤの空気圧や亀裂、摩耗状態の確認
- 各種ランプ(ヘッドライト、ブレーキランプ等)の点灯確認
特にオイルや冷却水の漏れは、エンジントラブルに直結する危険なサインです。
わずかな変化に気づくことが、大きな故障を防ぐ第一歩となります。
DPFのセルフクリーニング
DPFの性能を維持するためには、ドライバーによる適切な操作が不可欠です。
メーター内のDPF警告灯が点滅したら、速やかに手動再生を行う必要があります 。
- 安全な場所にトラックを停車させる
- パーキングブレーキをかけ、シフトレバーをニュートラルに入れる
- DPF再生ボタンを押し、再生が完了するまで待機する(約15分~40分)
また、市街地走行が多い場合は、定期的に高速道路を走行するのも効果的です。
エンジンを高回転で維持することで、溜まったPM(粒子状物質)が燃焼されやすくなります 。
消耗品の定期交換
エンジンオイルや冷却水などの消耗品は、メーカーが推奨する交換時期を守ることが大切です。
消耗品の劣化は、関連する部品全体の寿命を縮める原因になります 。
- エンジンオイルの定期交換
- 冷却水の定期交換
- オルタネーターや駆動ベルトの定期交換
これらの消耗品は、トラックの性能を維持するための重要な要素です。
定期的な交換を怠ると、最終的には高額な修理費用として跳ね返ってくる可能性があります。
クオンの「リコール情報の有無」
クオンには、過去に多数のリコール届出があったことは紛れもない事実です。
これらの情報は、国土交通省やUDトラックスのウェブサイトで公開されています。
- 多数のリコール届出の実績
- 近年の主なリコール事例
- リコール対象かを確認する方法
自身の車両がリコール対象になっていないか、定期的に確認する習慣が重要です。
くわしく見ていきましょう。
多数のリコール届出の実績
クオンは、モデルを問わず、これまで数多くのリコールを経験してきました。
対象台数が1万台を超える大規模なリコールも、一度ではありません 。
- 電気装置の不具合
- 排出ガス発散防止装置の不具合
- 制動装置(ブレーキ)の不具合
これらのリコールは、メーカーが設計上または製造上の問題を公式に認めたものです。
故障が多いという評判の背景には、このような客観的な事実が存在します。
近年の主なリコール事例
近年届け出られたリコールの中から、特に影響の大きかった事例をまとめました。
ブレーキや操舵に関する不具合は、重大な事故につながる危険性があります。
届出日 | 不具合の部位 | 概要 | 対象台数 |
2022/09/09 | ワイパー | 制御プログラムの不具合でワイパーが作動しない恐れ | 11,718台 |
2022/04/23 | 制動装置 | 駐車ブレーキ表示ランプの誤作動の恐れ | 約27,000台 |
2019/11/21 | 尿素水ポンプ | 部品の強度不足によりポンプが破損する恐れ | 10,788台 |
2019/04/18 | 電気装置 | 配線被覆の損傷により短絡・発煙の恐れ | 9,714台 |
2025/02/04 | エアタンク | ブラケットの強度不足でブレーキが効かなくなる恐れ | 2,933台 |
これらの事例は、クオンが抱える信頼性の課題を象徴しているといえるでしょう。
メーカー側も、継続的な品質改善に取り組んでいることがうかがえます。
リコール対象かを確認する方法
所有するクオンがリコール対象かどうかは、簡単に確認することができます。
車検証に記載されている「車台番号」を準備してください。
- UDトラックスの公式ウェブサイトで検索
- 国土交通省の「自動車リコール・不具合情報」サイトで検索
- 最寄りのUDトラックス販売会社へ問い合わせ
リコールの修理は、無償で受けることができます。
安全のため、そして車両の価値を維持するためにも、対象であれば速やかに対応しましょう。
クオンの「修理か売却かの決め手」
クオンに重大な故障が発生した際、修理して乗り続けるか、売却するかの判断は難しい問題です。
いくつかのポイントを比較検討することで、最適な選択が見えてきます。
- 修理費用と車両価値の比較
- フレーム損傷の有無
- 将来的な維持費の見通し
感情的な判断だけでなく、経済的な合理性も考慮に入れることが重要です。
くわしく見ていきましょう。
修理費用と車両価値の比較
最も基本的な判断基準は、修理にかかる費用と現在の車両価値のバランスです。
修理費用が車両の価値を大幅に上回る場合は、売却が合理的な選択肢となります 。
- 整備工場から正確な修理費用の見積もりを取得する
- 買取業者から現在の買取査定額を取得する
- 両方の金額を比較検討する
例えば、修理に100万円かかるが、現在の査定額が50万円というケースです。
この場合、修理しても経済的な損失が大きいため、売却を検討するのが一般的です。
フレーム損傷の有無
事故などによって車体の骨格部分であるフレームに損傷を受けた場合は注意が必要です。
フレームを修復した車両は「修復歴車」となり、資産価値が大幅に下がります 。
- フレームの修理は高額になりやすい
- 修復しても完全な強度を保証するのは難しい
- 修復歴があるだけで査定額が大きく下がる
フレームに損傷がある場合、高額な修理費をかけても車両価値は戻りません。
安全性の観点からも、このようなケースでは売却を強く推奨します。
将来的な維持費の見通し
一度大きな故障が発生したトラックは、他の部分も劣化が進んでいる可能性があります。
今回の修理だけでなく、将来的に発生しうる維持費も考慮に入れるべきです 。
- 走行距離や年式から今後の故障リスクを予測する
- DPFやSCRシステムなど、他の高額部品の寿命を考える
- タイヤやバッテリーなど、消耗品の交換時期が近いか確認する
一つの高額修理が、さらなる出費の始まりになることも少なくありません。
長期的な視点で、トータルのコストを考えて判断することが大切です。
【知らないと損】10年落ちのトラックでも”驚きの高値”がつくワケ
たとえ故障を抱えていても、トラックは想像以上の価格で売却できる可能性があります。
特に10年落ち程度の車両は、中古市場で非常に高い需要があります。
- 海外での高い需要
- 新車供給不足の影響
- トラック本来の耐久性
これらの理由を知ることで、安易な廃車という選択を避けることができます。
くわしく見ていきましょう。
海外での高い需要
日本のトラックは、海外、特に発展途上国で絶大な人気を誇ります。
「メイドインジャパン」の品質は、高い信頼の証となっているのです 。
- 優れた耐久性と燃費性能
- 厳しい車検制度によって整備状態が良い
- 多少古くても「走ればよい」という実用本位の需要
海外への販路を持つ買取業者は、国内では価値が低いとされる古いトラックも積極的に買い取ります。
日本での役目を終えたトラックが、海外で第二の活躍の場を見つけることは珍しくありません。
新車供給不足の影響
近年、半導体不足や部品供給の遅れにより、新車のトラックが手に入りにくい状況が続いています。
日野自動車の認証不正問題による出荷停止なども、この状況に拍車をかけました 。
- 新車の納期が1年以上かかるケースも
- すぐに業務で使える中古トラックの需要が急増
- 結果として中古トラック全体の価格が高騰
このような背景から、年式が古くても状態の良い中古トラックは高値で取引されています。
売り手にとっては、有利な条件で売却できるチャンスといえるでしょう。
トラック本来の耐久性
そもそもトラックは、乗用車とは比較にならないほど頑丈に作られています。
10年や100万キロ走行は、トラックの世界では通過点に過ぎません 。
- 排気量が大きく、エンジンの回転数が低いため摩耗が少ない
- 耐久性の高いディーゼルエンジンを搭載
- シンプルな構造でメンテナンスがしやすい
2011年式のクオンが、走行距離110万キロでも77万円の価値を維持した事例もあります 。
乗用車の常識で判断せず、トラック専門の買取業者に価値を査定してもらうことが重要です。
クオンの中古を買うときの「注意点」
クオンを中古で購入する際は、その特性を理解した上で慎重に車両を選ぶ必要があります。
価格の安さだけで選ぶと、購入後に高額な修理費用が発生するリスクがあります。
- 重点的に確認すべき箇所
- 点検整備記録簿の確認
- 信頼できる販売店の選定
これらの注意点を押さえることで、購入後のトラブルを最小限に抑えることができます。
くわしく見ていきましょう。
重点的に確認すべき箇所
中古のクオンをチェックする際は、一般的な確認項目に加えて、特有の弱点を重点的に見るべきです。
過去の故障事例が多い箇所は、特に念入りに状態を確認する必要があります。
- 排ガス浄化装置(DPF・SCR)の作動履歴や警告灯の有無
- トランスミッション(ESCOT)の試乗による変速ショックや異音の確認
- 電気系統(警告灯、エアコン、パワーウィンドウなど)の動作確認
可能であれば、エンジンを始動させ、異音や異常な振動がないかも確認しましょう。
これらの箇所に不安がある車両は、避けるのが賢明な判断です。
点検整備記録簿の確認
点検整備記録簿は、そのトラックがどのように扱われてきたかを示す重要な書類です。
特に、クオンの弱点とされる部品の交換履歴は必ず確認したいポイントです 。
- エンジンオイルやミッションオイルの定期的な交換履歴
- DPFやSCRシステムに関する整備や交換の記録
- リコール対象箇所の改善措置が実施済みであるかの記録
記録簿がしっかりと残っている車両は、大切にメンテナンスされてきた証拠です。
逆に、記録がほとんどない車両は、潜在的なリスクを抱えている可能性が高いと判断できます。
信頼できる販売店の選定
中古トラックの購入は、どこで買うかが非常に重要になります。
自社の整備工場を持ち、アフターサービスが充実している販売店を選びましょう 。
- 購入後の保証制度が整っているか
- 納車前の点検整備をしっかりと行ってくれるか
- トラックに関する専門知識が豊富なスタッフがいるか
信頼できる販売店は、車両のメリットだけでなく、デメリットや注意点も正直に説明してくれます。
複数の販売店を比較し、安心して長く付き合えるパートナーを見つけることが成功の鍵です。
よくある質問|UDトラックスのクオンは故障が多い?最悪?「よくある故障」を徹底調査
- トラックによくある故障ランキングは?
- クオンの評判は?乗り心地は悪い?
- クオンのミッション不具合の原因は?
- リターダーの故障の原因は?
- 故障コードはどこでわかる?
- スカニアは故障が多い?
トラックによくある故障ランキングは?
トラック全般で最も多い故障は、電気装置のトラブルです。
次いで、タイヤなどの走行装置、エンジン本体の不具合が多くなっています 。
- 第1位:電気装置(バッテリー、オルタネーターなど)
- 第2位:走行装置(タイヤなど)
- 第3位:エンジン本体(オイル漏れ、冷却水漏れなど)
特にタイヤとバッテリーは消耗品であり、路上故障の原因として非常に高い割合を占めます 。
日頃の点検で防げるトラブルも多いため、基本的なメンテナンスが重要です。
クオンの評判は?乗り心地は悪い?
クオンの評判は、故障の多さに対する批判と、乗り心地の良さに対する称賛に分かれます。
乗り心地が悪いという評価は少なく、むしろ良いと感じるドライバーが多いようです 。
- 運転しやすいとドライバーからは好評
- キャブサスペンションが優秀で快適性が高い
- 一方で、整備担当者からは故障の多さが指摘される
長距離を運転するドライバーにとっては、疲労の少ない快適な乗り心地は大きな利点です。
しかし、車両を管理する側にとっては、信頼性が評価の重要な軸となります。
クオンのミッション(エスコット)不具合の原因は?
クオンに搭載されているトランスミッション「ESCOT」の不具合は、いくつかの原因が考えられます。
整備事例では、エア漏れやクラッチ関連部品の作動不良が原因として特定されています 。
- クラッチレリーズの動き不良
- システムからのエア漏れ
- 内部オイルの劣化による潤滑不良
これらの不具合が発生すると、変速がスムーズに行えなくなったり、加速不良を起こしたりします 。
ミッションの不具合は走行に直接影響するため、異常を感じたらすぐに点検が必要です。
リターダーの故障の原因は?
リターダー(補助ブレーキ)が故障する主な原因は、電気系統の不具合です。
リターダーを制御する電子部品や配線に問題が発生すると、正常に作動しなくなります 。
- 制御する電子部品の不具合
- 配線系統の断線や接触不良
- 排ガス浄化装置に溜まった汚れの影響
リターダーが効かなくなると、主ブレーキ(フットブレーキ)への負担が著しく増加します。
ブレーキの過熱によるフェード現象などを引き起こす危険性があるため、早急な修理が必要です 。
故障コードはどこでわかる?
トラックの故障コードは、専門の診断機(スキャンツール)を使って読み取るのが一般的です。
整備工場などで、車両の診断コネクタに診断機を接続して確認します 。
- 整備工場に設置されている汎用または専用の故障診断機を使用
- コントロールユニットの自己診断機能が出力するコードを読み取る
- 一部の旧型車では警告灯の点滅パターンで判別可能
故障コードは、不具合が発生している箇所を特定するための重要な情報です。
エンジンチェックランプなどが点灯した際は、自己判断せずプロに診断を依頼しましょう。
スカニアは故障が多い?
スカニアをはじめとする海外製トラックの故障については、意見が分かれています。
「故障だらけで部品代も高額」という厳しい意見がある一方で、メーカーや一部のオーナーは故障の少なさを主張しています 。
- 故障が多く修理費が高額というイメージ
- 堅牢で故障が少ないというオーナーの声
- 実際にリコールが届け出されている事実
客観的な事実として、スカニアもエアドライヤの不具合で745台のリコールを届け出ています 。
海外製トラックは、国産車とは異なるメンテナンスの知識や部品供給体制の確認が必要です。
まとめ|UDトラックスのクオンは故障が多い?最悪?「よくある故障」を徹底調査
本記事では、UDトラックスのクオンにまつわる故障の評判について、多角的に調査・解説しました。
- 評判の真偽:故障が多いという評判は事実だが、運転のしやすさも高く評価されている。
- 故障の背景:多数のリコール実績や、複雑化した現代技術が背景にある。
- よくある故障:排ガス浄化装置(DPF・SCR)や電気系統にトラブルが集中している。
- 修理費用:DPFやSCRの交換は100万円を超える可能性があり、高額。
- メンテナンス:日常点検とDPFの手動再生が故障予防の鍵となる。
- リコール:公式サイトで車台番号を入力すれば、対象かどうかを確認できる。
- 修理か売却か:修理費用と車両価値を比較し、経済的合理性で判断することが重要。
- トラックの価値:10年落ちでも海外需要などにより高値で売却できる可能性がある。
- 中古車購入:弱点を熟知し、整備記録がしっかりした車両を信頼できる販売店から選ぶべき。
結論として、クオンはたしかに特定の箇所に故障のリスクを抱えたトラックです。
しかし、そのリスクは適切な知識とメンテナンスによって管理することができます。
本記事で得た情報を活用し、故障の兆候を早期に発見し、適切な対策を講じることが重要です。
そして、もし修理か売却かで迷った際には、まず専門の買取業者に現在の車両価値を査定してもらうことをお勧めします。
予想以上の査定額が提示され、次のステップへの大きな判断材料となるかもしれません。