4P10エンジンの「口コミ評価」まとめ

「燃費は良いと聞くけど、実際のところどうなの?」

「故障が多いって本当?修理代が高そうで心配…」

「乗り心地は良いらしいけど、パワー不足を感じることはない?」

など、4P10エンジンについて様々な声が聞かれます。

先進的な技術を搭載している一方で、トラブルに関するうわさも少なくありません。

正しい情報を知らずに選んでしまうと、予期せぬ「高額な修理費」や「業務の停止」につながるおそれがあります。

しかし、ご安心ください。

本記事では、実際の口コミ評価や頻発する故障事例、具体的な維持費まで、4P10エンジンの実態を詳しく解説します。

この記事を読むことで、4P10エンジンの全てを知ることができ、安心して車両の購入やメンテナンスができるようになります。

記事のポイント

  • 4P10の悪い口コミと良い口コミ
  • 頻発する故障事例とその対策
  • 年間の維持費とメンテナンス方法
  • ライバル「エルフ」との徹底比較
目次

4P10エンジンの「悪い口コミ評価」

4P10エンジンには、実際の使用感においていくつかの批判的な評価が寄せられています。

特に、走行性能やシステムの複雑さに起因する信頼性について、多くのユーザーが指摘しているようです。

  • パワーとトルク不足に関する評価
  • 複雑な電子制御と故障への不安
  • 巡航時のエンジンノイズ

これらのネガティブな評判は、購入を検討するうえで無視できないポイントとなります。

くわしく見ていきましょう。

パワーとトルク不足に関する評価

4P10エンジンは、力強さの面で物足りないという評価が見受けられます。

市街地での発進加速に不満はないものの、特定の状況でパワー不足を感じるという声が多いです 。  

  • ライバルのエルフほどのトルク感がない  
  • 高速道路の合流や登坂路での伸び悩み  
  • 「重いボディーに小さなエンジン」との指摘  

この特性は、燃費性能と平成22年排出ガス規制への適合を最優先した、エンジン設計に起因していると考えられます 。  

排気量を3.0Lに小型化したことが、高負荷時におけるパワーの余裕を少し犠牲にした結果と言えるでしょう。

複雑な電子制御と故障への不安

コンピューターによる制御が多岐にわたり、システムが非常に複雑であるという指摘があります。

「コンピューターの介入が多すぎてとにかくややこしいです」というユーザーの声が、このエンジンの特性を象徴しています 。  

  • 街の整備工場では対応がむずかしいトラブル  
  • 修理の際はディーラーへの入庫が基本となる
  • 警告灯が点灯しやすく、故障が多い印象  

BlueTec®システムをはじめとする高度な技術が、かえってオーナーの不安を招いている側面があるようです 。  

専門的な診断機なしでは原因究明が困難な点が、高額な修理費への懸念につながっています。

巡航時のエンジンノイズ

4P10エンジンは、巡航中の特有なエンジン音が気になるという口コミ評価があります。

ディーゼル特有の力強い音ではなく、乗用車に近い静かさを持つ一方で、ある種の音が耳につくようです 。  

  • 「カラカラ」という高周波のノイズ  
  • エルフやダイナと比較して音が大きいとの意見  
  • 長時間の運転では疲労につながる可能性

この音は、高圧で精密な燃料噴射を行うピエゾ式インジェクターや、DOHC構造に由来するものです 。  

従来のディーゼルエンジンとは音質が異なるため、一部のドライバーには違和感として捉えられています。

4P10エンジンの「よくある故障と対策」

先進的な設計を持つ4P10エンジンですが、残念ながらいくつかの頻発する故障事例が報告されています。

これらのトラブルは、主に精密な燃料系統や排出ガス浄化装置に集中しており、高額な修理につながるケースも少なくありません。

  • 燃料系統のトラブル(噴射ポンプ・インジェクター)
  • 排出ガス浄化装置(DPF・AdBlue)の不具合
  • 電気系統の故障とエンジン始動不能

これらの代表的な故障を理解し、適切な対策を講じることが重要です。

くわしく見ていきましょう。

燃料系統のトラブル(噴射ポンプ・インジェクター)

4P10エンジンは、燃料系統の不具合が「不具合NO.1※2020年時点」と口コミで言われるほど多発しています。

特にインジェクターや燃料ポンプの故障は、走行不能に直結する深刻なトラブルです。

  • 加速時にエンジンが停止する  
  • 噴射ポンプの不具合で警告灯が赤色に点灯  
  • 修理費用が70万円を超える高額な事例も  

精密なピエゾ式インジェクターは燃料の品質に敏感で、わずかな不純物でも不具合を引き起こす可能性があります 。  

定期的な燃料フィルターの交換や、信頼できる給油所での給油が最も効果的な対策と言えるでしょう。

排出ガス浄化装置(DPF・AdBlue)の不具合

BlueTec®システムの中核であるDPFやAdBlue関連の不具合も、よく知られたトラブルの一つです。

「ふそうの車ではあるあるの故障です」と言われるほど、AdBlue(アドブルー)の警告灯点灯は頻繁に発生します 。  

  • AdBlueタンク交換後も警告灯が再点灯する  
  • AdBlueの結晶化による詰まりで始動不能に  
  • DPFの自動再生が正常に完了しなくなる  

これらの不具合は、短距離走行の繰り返しなど、装置が正常に機能しにくい運転状況で発生しやすくなります。

DPFの警告灯が点灯したら速やかに手動再生を行い、定期的に高速道路などを走行してDPFを高温に保つことが予防策となります。

電気系統の故障とエンジン始動不能

エンジンが時々かからなくなる、といった電気系統のトラブルも報告されています。

特に初期型の車両では、特定の部品の不具合がエンジン始動不能の原因となるケースが確認されています 。  

  • 燃料ポンプのカプラーが焼損し始動不能に  
  • 走行中の振動で接触不良が発生しやすい
  • シリンダーポジションセンサーなどのセンサー異常  

燃料ポンプのカプラー焼損は、ポンプ内部の異常電圧が原因とされており、設計上の弱点である可能性が考えられます 。  

定期点検の際に、該当箇所のハーネスやカプラーに熱を持った形跡がないか確認することが、トラブルの早期発見につながります。

4P10エンジンの「良い口コミ評価」

故障に関する懸念がある一方で、4P10エンジンは多くのドライバーから高く評価されている点も数多く存在します。

特に、日々の運転における経済性や快適性は、このエンジンの大きな魅力となっています。

  • 燃費性能と経済性
  • 優れた乗り心地と静粛性
  • 耐久性とメンテナンスのしやすさ

これらのポジティブな評価は、4P10エンジンが多くの事業者に選ばれる理由を明確に示しています。

くわしく見ていきましょう。

燃費性能と経済性

4P10エンジンは、その優れた燃費性能で高い評価を得ています。

「低燃費で経済的」という口コミが多く、実際のユーザー燃費報告でも良好な数値を記録しています 。  

  • カタログ燃費は7.80km/Lから13.20km/L  
  • ユーザー報告でリッター9.9kmを記録した例も  
  • 連続走行では燃費が改善される傾向  

ただし、燃費は運転スタイルや積載状況に大きく左右される点には注意が必要です。

短距離のストップアンドゴーが多い乗り方では燃費が悪化しやすく、長距離の定速走行でこのエンジンの真価が発揮されます 。  

優れた乗り心地と静粛性

搭載車種であるキャンターの乗り心地は、「圧倒的に良い」と絶賛されています。

競合するエルフやダイナと比較して、路面からの衝撃吸収性に優れ、ドライバーの疲労を大幅に軽減します 。  

  • 段差を乗り越えた時の苦痛さはエルフの3分の1  
  • 体を支えるサイドサポート付きのシート  
  • 乗用車寄りの静かなエンジン音  

シャシー剛性の高さと、柔らかく大きな座面クッションの組み合わせが、クラスを超えた快適性を実現しています 。  

長時間の運転が主な業務となるドライバーにとって、この乗り心地の良さは何よりのメリットと言えるでしょう。

耐久性とメンテナンスのしやすさ

一部の電子部品に故障が多い一方で、エンジン本体の基本的な耐久性は高いと評価されています。

「長期間の使用に耐えうる設計」であり、「部品の供給も良好」という声もあります 。  

  • 基本設計は欧州で実績のあるF1Cエンジン  
  • 厳しい品質基準や耐久性能をクリア  
  • メンテナンスが比較的容易であるとの評価  

この評価の背景には、エンジンの中核部分がFiat Powertrain Technologies社と共同開発された、信頼性の高い設計に基づいていることがあります 。  

問題となりがちなのは、後から追加された日本市場向けの排出ガス浄化装置周りであり、エンジン本体は堅牢であると考えられます。

4P10エンジンの「総合評価」

では、4P10エンジンに対する最終的な評価はどのようなものになるのでしょうか。

このエンジンは、明確な長所と短所をあわせ持つ、二面性のあるパワーユニットと言えます。

  • 性能と信頼性のバランス
  • コストパフォーマンス分析
  • 競合エンジンとの比較評価

これらの観点から総合的に判断することで、4P10エンジンの本当の価値が見えてきます。

くわしく見ていきましょう。

性能と信頼性のバランス

4P10エンジンは、日常的な性能と快適性では高いレベルにありますが、長期的な信頼性には懸念が残ります。

優れた乗り心地と燃費性能という日々のメリットと、高額な修理リスクというデメリットが共存している状態です。

  • ドライバーの疲労を軽減する快適な走行性能  
  • 燃料費を削減できる優れた経済性  
  • 頻発する燃料・排ガス系の故障リスク  

このバランスは、オーナーの運用方法や個体運に大きく左右されると言わざるを得ません。

故障を回避できれば非常に優れたパートナーになりますが、一度トラブルが発生するとその評価は一変する可能性があります。

コストパフォーマンス分析

トータルコストで見た場合、4P10エンジンのコストパフォーマンスは一概に良いとは言えません。

日々の燃料費は安く抑えられる可能性がありますが、一度の大きな故障がそのメリットをすべて打ち消してしまうリスクをはらんでいます。

  • 中古車市場では比較的安価な場合がある
  • DPF交換には30万円から40万円かかることも  
  • インジェクターや燃料ポンプの修理も高額  

例えば、DPFの交換費用は、より燃費の悪いトラックで数年間にわたって余分にかかる燃料費を上回る可能性があります。

故障しないことを前提とすればコストパフォーマンスは高いですが、そのリスクを織り込むと、決して安価な選択肢とは言えないでしょう。

競合エンジンとの比較評価

最大のライバルである、いすゞ エルフのエンジンと比較すると、両者の設計思想の違いが明確になります。

あるユーザーが評したように、「キャンターの足回りにエルフのエンジンが積んであれば一番良い」というのが、多くのドライバーの本音かもしれません 。  

  • パワーとトルクではエルフが優位  
  • 乗り心地と操縦安定性ではキャンターが圧勝  
  • 巡航時の静粛性はエルフに軍配が上がる  

つまり、力強く信頼性の高い「パワートレイン」を求めるならエルフ、快適な「運転環境」を求めるならキャンターという選択になります。

どちらが良いかは、ユーザーが何を最も重視するかによって決まると言えるでしょう。

4P10エンジンの「基本情報」

ここでは、4P10エンジンの基本的なスペックや搭載されている技術について解説します。

このエンジンがどのような背景で開発され、どんな特徴を持っているのかを知ることは、評価を理解するうえで非常に重要です。

  • エンジンスペック一覧
  • 開発背景と搭載技術
  • 搭載されている車種

これらの基本情報を押さえることで、4P10エンジンへの理解がより深まります。

くわしく見ていきましょう。

エンジンスペック一覧

4P10エンジンは、複数の出力バリエーションを持つ、3.0Lのクリーンディーゼルエンジンです。

その主要なスペックは、以下の表の通りです 。  

項目内容
エンジン型式4P10, 4P10+
種類直列4気筒DOHC16バルブ インタークーラーターボ
総排気量2,998cc
ボア×ストローク95.8 mm × 104.0 mm
最高出力110PS, 130PS, 150PS, 175PS  
最大トルク(150PS仕様)370N・m (37.7kg・m) / 1350~2840rpm  
燃料噴射装置コモンレール式(ピエゾ方式)
排出ガス規制平成22年規制(ポスト新長期)適合
搭載技術BlueTec®システム, VG式ターボ

これらのスペックは、当時の小型トラック用エンジンとして、高い環境性能と効率性を追求した結果です。

特にDOHC構造やピエゾ式インジェクターの採用は、先進的な試みでした 。  

開発背景と搭載技術

4P10エンジンは、三菱ふそうとイタリアのFiat Powertrain Technologies(FPT)社が共同で開発しました。

欧州の商用車で豊富な実績を持つFPT社の「F1C」エンジンをベースとしています 。  

  • BlueTec®システム:DPFと尿素SCRを組み合わせ、PMとNOxを大幅に低減 。  
  • ピエゾ式コモンレール:緻密な燃料噴射制御により、燃焼効率を最大化 。  
  • VG式ターボ:低回転から高回転まで、フラットで力強いトルク特性を実現 。  

これらの技術の組み合わせにより、日本の厳しい平成22年排出ガス規制をクリアしました。

環境性能、経済性能、走行性能を高いレベルで両立させることを目指したエンジンです 。  

搭載されている車種

4P10エンジンが主に搭載されているのは、三菱ふそうの小型トラック「キャンター」です。

2010年に登場した8代目モデルから採用が始まり、現行の9代目モデルでは改良型の「4P10+」が搭載されています 。  

  • 三菱ふそう キャンター(2010年~)
  • 三菱ふそう ローザ
  • 日産 NT450 アトラス  

キャンターだけでなく、マイクロバスのローザや、OEM供給されている日産のアトラスにも搭載されています。

そのため、中古車市場でも4P10エンジンを搭載した車両を比較的多く見つけることが可能です。

4P10エンジンの「維持費(参考)」

4P10エンジン搭載車を所有する上で、年間どれくらいの維持費がかかるのかは重要な関心事です。

ここでは、税金や保険料、主要なメンテナンス費用を合算した、年間の維持費の目安を算出します。

  • 年間にかかる税金と保険料
  • 燃料費の目安
  • 主要なメンテナンス費用(オイル交換・DPF洗浄)

これらの費用を把握することで、より具体的な運用計画を立てることができます。

くわしく見ていきましょう。

年間にかかる税金と保険料

トラックを所有するためには、毎年必ず発生する法定費用があります。

自家用の2tクラス(最大積載量2t以下)のトラックの場合、税金と自賠責保険料は以下のようになります 。  

  • 自動車税(種別割):11,500円
  • 自動車重量税:6,600円(1年あたり、エコカー減税なしの場合)
  • 自賠責保険料:16,900円(12ヶ月契約)

これらの合計だけでも、年間で約35,000円の費用が必要です。

事業用(緑ナンバー)の場合は税額が異なるなど、用途や車両総重量によって金額は変動します 。  

燃料費の目安

年間の燃料費は、維持費の中で最も大きな割合を占める変動費です。

走行距離や燃費、軽油価格によって大きく変わりますが、一つのモデルケースとして試算してみましょう。

  • 年間走行距離:30,000km
  • 平均燃費:11.8km/L  
  • 軽油価格:1Lあたり150円

この条件で計算すると、年間の燃料費は約38万円(30,000km ÷ 11.8km/L × 150円)となります。

実際の燃費は7km/L台から13km/L台まで幅があるため、あくまで参考値として捉える必要があります 。  

主要なメンテナンス費用(オイル交換・DPF洗浄)

定期的なメンテナンス費用として、エンジンオイル交換とDPF洗浄の費用は特に重要です。

これらのメンテナンスを怠ると、エンジンの寿命を縮めたり、高額な修理につながる可能性があります。

  • エンジンオイル交換:1回あたり約8,000円~20,000円(フィルター交換含む)  
  • DPF洗浄:1回あたり約50,000円~80,000円  
  • DPF交換:30万円~40万円と非常に高額  

エンジンオイルは年に2回交換すると仮定すると、年間で約20,000円~40,000円が必要です。

DPF洗浄は数年に一度の出費ですが、突発的な費用として予算に組み込んでおくべき項目と言えるでしょう。

4P10エンジンの「メンテナンス方法」

4P10エンジンの性能を維持し、故障リスクを低減するためには、適切なメンテナンスが不可欠です。

ここでは、オーナー自身が行うべき日常点検から、専門的な作業まで、主要なメンテナンス方法を解説します。

  • 日常的な点検項目
  • エンジンオイル交換の手順と注意点
  • DPF手動再生・強制再生の方法

正しい知識を身につけ、愛車を最適なコンディションに保ちましょう。

くわしく見ていきましょう。

日常的な点検項目

運行前に行う日常点検は、トラブルを未然に防ぐための第一歩です。

三菱ふそうも、日常点検の実施を強く推奨しています 。  

  • エンジンオイルの量:レベルゲージで上限と下限の間にあるか確認 。  
  • 冷却水の量:リザーバータンクの液面がFULLとLOWの間にあるか確認 。  
  • ブレーキ液の量:リザーバータンクの液面がMAXとMINの間にあるか確認 。  

これらの点検は、エンジンルームを開ければ数分で完了します。

液量の著しい減少は漏れのサインであるため、異常を発見した場合は速やかに専門家へ相談してください。

エンジンオイル交換の手順と注意点

4P10エンジンのオイル交換には、特に注意すべき点が2つあります。

この手順を誤ると、エンジンに深刻なダメージを与えたり、警告灯が消えないトラブルにつながります。

  • 必ずDPF対応の指定オイルを使用する  
  • オイルパンのドレンボルトは規定トルクで締める  
  • 交換後はECU(エンジンコントロールユニット)のオイルリセット作業が必須  

オイルリセットは、キーをONにし、アクセルペダルとブレーキペダルを特定の回数踏むことで実施できます 。  

この作業を忘れると、ECUがオイル交換を認識できず、不必要な警告灯の点灯やDPF再生不良の原因となります 。  

DPF手動再生・強制再生の方法

DPFに溜まったPM(粒子状物質)を燃焼させる「再生」は、このエンジンの重要な機能です。

再生には、自動・手動・強制の3つの方法があります 。  

  • 自動再生:走行中に自動で行われる。
  • 手動再生:メーター内のDPF警告灯が点滅したら、車両を安全な場所に停止させ、再生スイッチを押す 。  
  • 強制再生:手動再生でも警告灯が消えない場合、ディーラーなどで診断機を使い強制的に行う 。  

警告灯の点滅を無視して走行を続けると、DPFが完全に詰まってしまい、高額な交換費用が発生するおそれがあります。

手動再生のサインを見逃さず、速やかに対処することが重要です。

4P10エンジンの「メリット&デメリット」

これまでの情報を整理し、4P10エンジンのメリットとデメリットを簡潔にまとめます。

このエンジンは、長所と短所がはっきりしているため、自身の使い方に合うかどうかを判断しやすいと言えるでしょう。

  • オーナーが感じる3つのメリット
  • 注意すべき3つのデメリット
  • メリットを最大化する乗り方

これらのポイントを比較検討することで、総合的な評価を下すことができます。

くわしく見ていきましょう。

オーナーが感じる3つのメリット

4P10エンジンを搭載した車両のオーナーは、主に3つの大きなメリットを享受できます。

これらの利点は、日々の業務における快適性や経済性に直結するものです。

  • 優れた燃費性能:長距離走行での燃料コストを大幅に削減できる可能性があります 。  
  • クラス最高の乗り心地:ドライバーの身体的負担を軽減し、長時間の運転を快適にします 。  
  • 静かで乗用車ライクな運転感覚:従来のトラックのイメージを覆す、洗練された走行フィールを提供します 。  

特に乗り心地の良さは、他のトラックから乗り換えた多くのドライバーが驚くほどのレベルです。

安全運転と生産性の向上にも貢献する、見逃せないメリットと言えるでしょう。

注意すべき3つのデメリット

一方で、4P10エンジンを選ぶ際には、覚悟しておくべき3つのデメリットが存在します。

これらのリスクを理解し、許容できるかどうかが、購入の大きな判断基準となります。

  • 故障リスクの高さと高額な修理費:燃料系統や排ガス系統のトラブルは頻繁で、修理費は数十万円に及ぶこともあります 。  
  • 複雑な電子制御:故障診断が難しく、修理は専門知識を持つディーラーに依存しがちです 。  
  • 力不足を感じる場面がある:高速道路の合流や、重い荷物を積んでの登坂路ではパワー不足が顕著になります 。  

特に故障のリスクは、事業の収益性に直接影響を与えるため、最も慎重に検討すべき点です。

予期せぬ出費に備え、十分な予算を確保しておく必要があるでしょう。

メリットを最大化する乗り方

4P10エンジンのメリットを最大限に引き出し、デメリットを最小限に抑えるためには、乗り方が重要になります。

このエンジンの特性を理解し、それに合わせた運用を心がけることが、長く付き合うための秘訣です。

  • 短距離走行を避け、高速道路などを定期的に走行する
  • DPF対応の高品質なエンジンオイルを定期的に交換する  
  • DPFの再生警告を無視せず、速やかに手動再生を行う  

つまり、エンジンとDPFシステムが正常に機能しやすい環境を、ドライバーが意識して作ってあげることが大切です。

シビアコンディションでの使用を避け、適切なメンテナンスを行うことで、故障のリスクを大幅に低減できます。

4P10エンジンが「おすすめの人」

4P10エンジンの特性をふまえると、すべての人におすすめできるわけではありません。

特定の用途や価値観を持つユーザーにとっては最高の選択肢となり得ますが、そうでない場合は不満を感じる可能性があります。

  • 乗り心地と経済性を重視するユーザー
  • 長距離輸送がメインの事業者
  • 中古車での購入を検討している人

ご自身の状況が、これらのプロフィールに当てはまるかどうかを確認してみてください。

くわしく見ていきましょう。

乗り心地と経済性を重視するユーザー

日々の運転で最も大切なのは、快適性とランニングコストだと考えるユーザーに最適です。

一日の大半を車内で過ごすドライバーにとって、キャンターが提供する優れた乗り心地は、何物にも代えがたい価値があります 。  

  • 長時間の運転による疲労を軽減したい人
  • 日々の燃料費を少しでも抑えたい事業者
  • パワーよりも快適な移動空間を優先する人

多少の故障リスクを許容してでも、日々の快適性を手に入れたいという方には、満足度の高い選択となるでしょう。

毎日の仕事が、より快適で経済的になる可能性があります。

長距離輸送がメインの事業者

主に高速道路を利用した、長距離輸送を業務とする事業者に強くおすすめします。

このような使用環境は、4P10エンジンの長所を最大限に活かし、短所を打ち消すことができる理想的な状況です。

  • エンジンの効率が良い速度域を維持できるため、燃費が向上する  
  • DPFが高温に保たれ、再生トラブルが起こりにくい
  • 優れた乗り心地が、長距離運転でのドライバーの負担を減らす  

逆に、市街地での配送など、ストップアンドゴーが多い業務にはあまり向いていません。

エンジンのポテンシャルを最も引き出せるのは、間違いなく長距離輸送の現場です。

中古車での購入を検討している人

ある程度のリスクを許容できる、知識や予算に余裕のある中古車購入検討者にもおすすめです。

4P10搭載のキャンターは、その故障リスクから中古車市場で同年代のエルフより安価な場合があります。

  • 購入費用を抑えたい人
  • 故障時に備えた修理費用を準備できる人
  • 信頼できる整備工場とのつながりがある人

購入時には、本記事で解説した燃料ポンプのカプラーやDPFの状態などを、入念にチェックすることが必須です。

良い個体を見極めることができれば、非常にコストパフォーマンスの高い買い物になる可能性があります。

4P10エンジンの「注意点」

4P10エンジン搭載車を検討、あるいは所有する際には、いくつかの重要な注意点があります。

これらのポイントを事前に知っておくことで、将来的なトラブルや予期せぬ出費を避けることができます。

  • 中古車選びで確認すべきポイント
  • 故障を未然に防ぐための運用方法
  • リコール情報の確認

安全かつ経済的に車両を運用するために、必ず押さえておきましょう。

くわしく見ていきましょう。

中古車選びで確認すべきポイント

中古で4P10エンジン搭載車を選ぶ際は、特に故障が多い箇所を重点的に確認する必要があります。

過去のメンテナンス履歴と、現在の車両の状態を慎重に見極めることが重要です。

  • 整備記録簿:DPF対応オイルでの定期的なオイル交換履歴があるか。
  • DPFの状態:診断機でPM堆積量を確認し、異常な再生履歴がないか。
  • 燃料ポンプのカプラー:熱による変形や焼損の痕跡がないか目視で確認 。  

可能であれば、三菱ふそうのディーラーや、4P10エンジンの整備経験が豊富な工場で、購入前点検を受けることを強く推奨します。

専門家の目でチェックしてもらうことが、最も確実なリスク回避策です。

故障を未然に防ぐための運用方法

日々の運転や管理の仕方で、故障のリスクをある程度コントロールすることが可能です。

エンジンに負担をかけない、丁寧な運用を心がけることが大切になります。

  • 短距離のみの走行は極力避ける
  • 品質の確かな軽油を給油する
  • DPF再生の警告ランプは絶対に無視しない

特にDPFの再生タイミングを逃さないことは、致命的な詰まりを防ぐ上で非常に重要です 。  

また、エンジンオイルの量が「いつの間にか減っている」という報告もあるため、日常点検でのオイルレベルチェックは欠かさず行いましょう 。  

リコール情報の確認

4P10エンジンおよび搭載車種のキャンターは、過去に複数の重要なリコールを届け出ています。

中古車を購入する際は、対象のリコール作業が実施済みであるかを必ず確認してください 。  

  • 燃料ホースの材質不良による燃料漏れ  
  • ロッカーアームの耐久性不足による破損  
  • イグニッションスイッチの不具合によるエンジン停止  

これらのリコールは、火災や走行不能に至るおそれのある、重大な内容を含んでいます。

三菱ふそうの公式サイトで車台番号を入力すれば、リコール対象かどうかを簡単に調べることが可能です 。  

【知らないと損】廃車はもったいない!10年落ちのトラックでも”驚きの高値”がつくワケ

もし4P10エンジンに不具合が発生し、高額な修理見積もりが出たとしても、すぐに廃車と決めるのは早計です。

実は、10年以上経過した古いトラックでも、驚くほどの高値で買い取られるケースが少なくありません。

  • 高価買取の理由①:海外での高い需要
  • 高価買取の理由②:部品としての価値
  • 査定額を上げるためのポイント

この仕組みを知っているかどうかで、数十万円単位の差が生まれることもあります。

くわしく見ていきましょう。

高価買取の理由①:海外での高い需要

日本のトラックは、その高い耐久性と信頼性から、海外で絶大な人気を誇ります。

特に、整備が行き届いていない道路環境でも走りきれる堅牢なモデルは、非常に高く評価されています 。  

  • 日本製のトラックというだけでブランド価値がある  
  • 日本では過走行でも、海外ではまだまだ現役
  • 車検制度が緩やかな国では古い年式でも問題なく使用される  

日本では維持費が高くつく古いトラックでも、海外のバイヤーにとっては魅力的な商品です。

この海外への輸出ルートを持つ買取業者が、高価買取を実現する大きな理由となっています 。  

高価買取の理由②:部品としての価値

たとえトラックが自走不可能な状態であっても、価値がゼロになるわけではありません。

車両を構成しているエンジンやミッション、足回りなどの部品一つひとつに価値があるからです 。  

  • 海外では修理用の純正中古部品の需要が高い
  • エンジン単体でも数十万円で取引されることがある  
  • 事故車や不動車でも部品取り車両として価値を持つ

特に4P10エンジンのように、特定の部品が故障しやすいモデルは、正常に機能する中古部品の需要が高まります。

そのため、動かなくなったトラックでも、部品の価値を評価してくれる専門業者に査定を依頼することが重要です。

査定額を上げるためのポイント

少しでも高くトラックを売却するためには、いくつかのコツがあります。

日頃のメンテナンスと、売却時の準備が査定額を大きく左右します。

  • 整備記録簿を保管しておく:適切なメンテナンスが行われてきた証明になる 。  
  • 内外装をきれいにしておく:錆や腐食が少ないほど評価は高くなる 。  
  • 車検を残した状態で売却する:次のオーナーがすぐに乗り出せるため価値が上がる 。  

また、トラックの需要が高まる1月から3月の決算期や、9月から10月の中間決算期に売却するのも有効な手段です 。  

複数の専門業者に見積もりを依頼し、最も高い評価をしてくれる業者を見つけることが、高価売却への近道となります。

よくある質問|4P10エンジンの「口コミ評価」について

  • キャンターの壊れやすい年代はある?
  • キャンターは故障は多い?
  • キャンターは乗り心地悪い?
  • キャンターの安い理由は?
  • エルフとキャンター、どっちがいい?

キャンターの壊れやすい年代はある?

はい、特に初期型にあたる平成23年(2011年)前後のモデルは、トラブルの報告が多く見られます 。  

この時期の車両は、BlueTec®システムが導入されたばかりで、いわゆる「初期ロットの不具合」を抱えている可能性があります。

  • 燃料ポンプのカプラー焼損トラブル  
  • エンジン制御や触媒関係の連鎖的な不具合  
  • その他、細かな電気系統の故障

もちろん、すべての初期型が壊れやすいわけではありませんが、統計的にはリスクが高い年代と言えるでしょう。

中古車を選ぶ際には、この年代の車両は特に注意深く状態を確認する必要があります。

キャンターは故障は多い?

はい、残念ながら4P10エンジンを搭載したキャンターは、故障が多いという評価が一般的です。

特に、燃料噴射システムと排出ガス浄化装置(DPF、AdBlue)に関連するトラブルが頻発することが知られています 。  

  • 「日本のトラックで不具合NO.1」と評されることも  
  • 診断機がないと原因特定が難しい複雑な故障
  • 修理費用が高額になりやすい

ただし、故障が集中しているのは特定のシステムであり、エンジン本体の機械的な部分は堅牢であるとされています 。  

適切なメンテナンスと運用方法によって、ある程度のリスクは低減することが可能です。

キャンターは乗り心地悪い?

いいえ、全く逆です。キャンターの乗り心地は、同クラスの小型トラックの中で最高レベルとの評価を得ています。

多くのユーザーレビューや比較記事で、ライバルのいすゞ エルフや日野 デュトロを圧倒する快適性が絶賛されています 。  

  • 路面からの衝撃吸収性が非常に高い  
  • ドライバーの疲労を軽減するシート設計  
  • 操縦安定性や車との一体感も優れている  

この優れた乗り心地は、4P10エンジン搭載キャンターの最大のメリットの一つです。

長距離を運転するドライバーにとっては、他のデメリットを補って余りある魅力と言えるでしょう。

キャンターの安い理由は?

中古のキャンターが同年代・同条件のライバル車より安価な場合、その背景には故障リスクへの懸念があります。

購入後の高額な修理費用が発生する可能性を、市場価格が織り込んでいると考えることができます。

  • 新車に比べて価格が安いのは中古車全般に言えること  
  • 業者による仕入れや販売の工夫  
  • 故障リスクの高さが市場評価に影響している可能性

もちろん、走行距離や車両の状態、架装の種類など、価格を決める要因は多岐にわたります。

しかし、4P10エンジンの信頼性に関する評判が、中古車価格の一因となっていることは否定できないでしょう。

エルフとキャンター、どっちがいい?

どちらが良いかは、何を最も重視するかによって結論が異なります。

エンジン性能と信頼性を優先するならエルフ、乗り心地と快適性を優先するならキャンターがおすすめです 。  

  • エンジン性能:トルクフルで力強いエルフが優位。
  • 乗り心地:衝撃吸収性に優れるキャンターが圧勝。
  • 信頼性リスク:キャンターは燃料・排ガス系に大きな懸念あり。

以下の比較表を参考に、ご自身の業務内容や価値観に合った一台を選んでください。

比較項目4P10搭載キャンターエルフ
エンジン性能燃費志向、高負荷時は力不足感ありトルクフルで力強い
乗り心地◎(クラス最高レベル)△(キャンターに劣る)
静粛性△(特有の高周波音)〇(巡航時は静か)
信頼性リスク高(燃料・排ガス系に要注意)中(DPD関連のトラブルはあり)
おすすめの用途長距離・高速巡航、ドライバーの疲労軽減を重視市街地、坂道、重量物輸送

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まとめ|4P10エンジンの「口コミ評価」について

  • 悪い口コミ:パワー不足、複雑な電子制御による故障への不安、特有のエンジン音が指摘される。
  • よくある故障:燃料噴射系、DPF・AdBlue、電気系統のトラブルが頻発し、修理は高額になりがち。
  • 良い口コミ:クラス最高の乗り心地と、長距離での優れた燃費性能が高く評価されている。
  • 総合評価:乗り心地と経済性に優れるが、故障リスクという大きなデメリットを抱える、長所と短所が明確なエンジン。
  • 基本情報:Fiatと共同開発した3.0Lのクリーンディーゼルで、BlueTec®技術を搭載。
  • 維持費:燃料費は抑えられる可能性があるが、高額な修理費用がTCOを押し上げるリスクがある。
  • メンテナンス:DPF対応オイルの使用とECUリセットが必須。DPF再生の管理が重要。
  • メリット&デメリット:メリットは快適性と経済性、デメリットは信頼性と修理コスト。
  • おすすめの人:長距離ドライバーや、快適性を最優先するユーザー向け。
  • 注意点:中古車は燃料・排ガス系の状態を重点的にチェックする必要がある。
  • 高価買取:10年落ちでも海外需要や部品価値により、高値での売却が期待できる。


4P10エンジンは、決して万人向けのエンジンではありませんが、その特性を理解し、自分の使い方に合致するならば、

最高のビジネスパートナーとなり得ます。

本記事で得た知識をもとに、ご自身の事業に最適な一台を見極め、賢いトラック選びを実現してください。

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