エルフは本当に「故障が多い」のか徹底調査

「エルフはDPDの警告灯がすぐ点く」

「修理代が高額らしい」

「走行中にエンストしたらどうしよう」

といった声を聞くと、購入や乗り続けることに不安を感じますよね。  

たしかに、インターネット上ではエルフの故障に関する、さまざまな情報が見受けられます。

もし故障の予兆や正しいメンテナンス方法を知らないまま乗り続けると、ある日突然、数十万円単位の高額な修理費用が発生するかもしれません。  

しかし、ご安心ください。

本記事では、エルフに故障が多いといわれる背景から、具体的な故障事例、修理費用、故障を防ぐメンテナンス方法まで徹底解説します。

この記事を読むことで、エルフの故障について深く知ることができ、安心して「購入・売却の判断」や「日々の運転」ができるようになります。

記事のポイント

  • エルフの故障が多いという評判の真相
  • DPD・ターボなどよくある故障と対策
  • 主要な修理にかかる費用の目安
  • 10年落ちでも高値で売れる理由
目次

エルフに「故障が多い」のは本当か?

エルフが「故障が多い」という評判は、一部の特定の部品に起因するもので、車両全体が壊れやすいわけではありません。

近年のモデルに搭載されている、ある装置の不具合報告が評判に大きく影響しているのです。

  • 評判の火種は「DPD」関連の不具合
  • エンジン本体の耐久性は高い評価
  • 商用車としての総合的な信頼性

つまり、特定のシステムには注意が必要ですが、トラックの心臓部であるエンジンや車体は非常に頑丈に作られています。

それでは、評判の真相について、くわしく見ていきましょう。

評判の火種は「DPD」関連の不具合

エルフの故障に関する評判の多くは、「DPD」と呼ばれる排出ガス浄化装置に関連するものです。  

DPDの警告灯が頻繁に点灯したり、手動再生がうまくできなかったりする事例が数多く報告されています。  

  • 警告灯が頻繁に点灯する
  • 手動再生を促される
  • 走行中にパワーがなくなる

これらの症状はドライバーにとって大きなストレスとなり、「エルフは故障が多い」という印象を広める主な原因となっています。

DPDは現代のディーゼル車に不可欠な装置ですが、その構造の複雑さがトラブルの一因となっているのです。  

エンジン本体の耐久性は高い評価

DPD関連の不具合が目立つ一方で、エルフのエンジン本体の耐久性は非常に高く評価されています。

特に「4JJ1」型エンジンは、基本的な構造が頑丈で、長距離・長時間の過酷な使用にも耐えうる設計です。  

  • 基本的な構造が頑丈
  • 適切なメンテナンスで長く使える
  • 海外でも高い評価を得ている

実際に、適切なオイル管理などを行えば、数十万キロメートルを問題なく走行できる個体も少なくありません。

故障といわれるものの多くは、エンジン本体ではなく、DPDやターボといった補機類のトラブルが中心なのです。

商用車としての総合的な信頼性

エルフは長年にわたり、日本の小型トラック市場を牽引してきた実績のある車両です。

その背景には、エンジンや車体の耐久性に加え、部品供給の安定性や整備のしやすさといった総合的な信頼性があります。  

  • 長年の販売実績
  • 安定した部品供給
  • 全国に広がる整備ネットワーク

DPDという新しい課題はありますが、運送事業者に選ばれ続けているのは、商用車としての基本性能が高いからといえるでしょう。

一部の弱点を理解し、適切に対処することが、エルフと長く付き合うためのカギとなります。

エルフに「故障が多いといわれる背景」

エルフの故障報告が目立つ背景には、年々きびしくなる排出ガス規制への対応という大きな要因があります。

環境性能を高めるために搭載された複雑な装置が、新たな故障のリスクを生み出しているのです。

  • 排出ガス規制と「DPD装置」の複雑化
  • 使用状況による「DPD詰まり」の発生
  • メンテナンス不足による不具合の誘発

これらの要因が重なることで、特にDPD関連のトラブルが多発し、「故障が多い」という評判につながっています。

それぞれの背景について、くわしく見ていきましょう。

排出ガス規制と「DPD装置」の複雑化

現代のディーゼルエンジン車には、排出ガスに含まれる有害物質を取りのぞくための浄化装置が不可欠です。

いすゞでは「DPD」、他メーカーでは「DPF」や「DPR」と呼ばれる装置がそれに該当します。  

  • 排気ガス中のすす(PM)を捕集するフィルター
  • フィルターに溜まったすすを燃焼させて除去(再生)
  • 環境保護のために法律で搭載が義務化

このDPDは、排気ガスをクリーンにする一方で、構造が複雑でセンサー類も多く、故障の発生源となりやすいのです。

「故障が多い」といわれるようになったのは、DPDが標準装備されてからのモデルに集中する傾向があります。

使用状況による「DPD詰まり」の発生

DPDは、フィルターに溜まったすすを高温で燃焼させる「再生」という作業を自動で行います。

しかし、この再生が正常に行われない運転状況が続くと、フィルターが詰まり、不具合を引きおこします。  

  • 渋滞の多い市街地走行
  • 短距離走行のくり返し
  • 長時間のアイドリング

上記のような、エンジンの回転数が上がらず排気温度が低い状態が続くと、再生がうまく機能しません。  

結果としてDPDが詰まりやすくなり、警告灯の点灯や出力低下といったトラブルにつながるのです。

メンテナンス不足による不具合の誘発

DPDの性能を維持するためには、適切なメンテナンスが欠かせません。

特にエンジンオイルの選択は、DPDの寿命に直接的な影響をあたえるため、非常に重要です。  

  • 指定外のエンジンオイルの使用
  • エアクリーナーの汚れ
  • 燃料フィルターの詰まり

DPD装着車には、燃焼時に灰(アッシュ)が出にくい専用の「低灰分オイル」の使用が必須です。  

指定外のオイルを使うと、燃え残った灰がフィルターを完全に詰まらせ、高額な交換費用が必要になる場合があります。

エルフの「よくある故障と対策」

エルフで報告される故障は、DPD以外にもいくつかの典型的なパターンが存在します。

これらの故障は互いに関連していることも多く、一つの不具合が別のトラブルを誘発することもあります。

  • DPD(排出ガス浄化装置)の不具合
  • ターボチャージャーの故障
  • インジェクターの不具合
  • エアコン関連の故障

それぞれの故障の症状や原因、そして有効な対策を知っておくことが、大きなトラブルを未然に防ぐことにつながります。

各故障について、くわしく見ていきましょう。

DPD(排出ガス浄化装置)の不具合

DPDの不具合は、エルフのオーナーが最も遭遇しやすいトラブルの一つです。

症状としては、メーター内のDPDランプの点滅や点灯、自動再生や手動再生ができなくなる、といったものがあります。  

  • 症状:警告灯の点灯・点滅、出力制限、再生不可
  • 原因:すすやアッシュの堆積、センサー類の故障
  • 対策:定期的な高速走行、指定オイルの使用、警告灯を無視しない

DPDの警告灯が点滅したら、安全な場所に停車して手動再生を行う必要があります。  

警告を無視して走行を続けると、フィルターが完全に詰まり、最終的には交換が必要になる可能性があります。

ターボチャージャーの故障

ターボチャージャーは、エンジンの出力を向上させるための重要な部品です。

故障すると、「ヒューン」という異音、マフラーからの白煙、加速力の低下といった症状があらわれます。  

  • 症状:異音、白煙、出力低下、オイル消費
  • 原因:オイル管理不足によるベアリングの焼き付き、異物の混入
  • 対策:定期的なエンジンオイル交換、急なエンジン停止を避ける

特に、エンジン停止直前に数分間アイドリングを行う「アフターアイドル」は、ターボの保護に有効です。

DPDの詰まりによる排圧の上昇が、ターボに負担をかけて故障を誘発するケースもあります。  

インジェクターの不具合

インジェクターは、エンジン内に燃料を霧状に噴射する精密な部品です。

不具合がおこると、アイドリングの不安定、エンジンの振動、黒煙の増加、燃費の悪化など、さまざまな症状が出ます。  

  • 症状:エンジン不調、振動、黒煙、始動困難
  • 原因:燃料に含まれる不純物やカーボンによる詰まり
  • 対策:良質な燃料の使用、定期的な燃料添加剤の使用

インジェクターの噴射状態が悪いと不完全燃焼をおこし、DPDに過剰なすすが溜まる原因にもなります。  

DPDの再生頻度が異常に増えた場合は、インジェクターの不調を疑う必要があるかもしれません。

エアコン関連の故障

夏場の業務に不可欠なエアコンも、故障しやすい箇所の一つです。

「エアコンが全く効かない」「最初は冷えるが、しばらくすると効かなくなる」といった症状が代表的です。  

  • 症状:冷風が出ない、効きが悪い
  • 原因:コンプレッサーの故障、ガス漏れ、エバポレーターの詰まり
  • 対策:定期的な作動確認、フィルターの清掃・交換

特にエアコンコンプレッサーやマグネットクラッチの故障は、エルフでよく見られるトラブルです。  

ガス漏れの場合は、ホースや接続部分からの漏れが多く、修理には専門的な診断が必要となります。  

エルフの「修理費用(概算)」

エルフの修理費用は、故障箇所や交換する部品によって大きく変動します。

特にDPDやターボといった主要部品の交換は高額になりがちですが、リビルト品などを活用することで費用を抑えることも可能です。

  • DPD(排出ガス浄化装置)の洗浄・交換費用
  • ターボチャージャーの交換費用
  • インジェクターの洗浄・交換費用

あらかじめ費用の目安を知っておくことは、万が一の際に適切な判断を下すために非常に重要です。

以下に、主要な修理にかかる費用の概算をまとめました。

部品修理内容費用目安備考
DPD洗浄75,000円~100,000円症状が軽度な場合  
DPD交換(リビルト品)170,000円~350,000円新品より安価  
ターボチャージャー交換(リビルト品)約300,000円(2個)新品の約半額  
ターボチャージャー交換(新品)約600,000円(2個)非常に高額  
インジェクター洗浄7,000円~11,000円(1本あたり)最も安価な選択肢  
インジェクター交換(リビルト品)約70,000円~104,000円(4本)コストと品質のバランスが良い  
インジェクター交換(新品)200,000円以上(4本)部品代だけで高額  

それでは、各項目の詳細について、くわしく見ていきましょう。

DPD(排出ガス浄化装置)の洗浄・交換費用

DPDの不具合が発生した場合、まずは比較的安価な「洗浄」を試みることが一般的です。

専門業者による洗浄費用は、おおよそ75,000円から100,000円程度が相場となります。  

  • 分解洗浄:30,000円~80,000円
  • 強制再生:10,000円前後
  • リビルト品への交換:170,000円~350,000円

洗浄で機能が回復しない場合や、内部が破損している場合は、DPD本体の交換が必要です。  

新品は非常に高額ですが、リビルト品(再生部品)を利用すれば、費用を大幅に抑えることができます。  

ターボチャージャーの交換費用

ターボチャージャーの交換は、エルフの修理の中でも特に高額になる可能性があります。

一部のモデルではターボが2個搭載されており、新品で交換すると部品代だけで60万円近くになることもあります。  

  • 新品部品代(2個):約600,000円
  • リビルト部品代(2個):約300,000円
  • 別途、交換工賃が必要

ここでもリビルト品を活用するのが賢明な選択で、部品代を約半額に抑えることが可能です。  

ターボ交換は複雑な作業となるため、部品代とは別に高額な工賃が発生することも念頭に置いておく必要があります。

インジェクターの洗浄・交換費用

インジェクターの修理も、いくつかの選択肢によって費用が大きく異なります。

最も安価な方法は、取り外したインジェクターを専門業者で洗浄してもらうことです。  

  • 洗浄(1本あたり):7,000円~11,000円
  • リビルト品への交換(4本):約70,000円~104,000円
  • 新品への交換(4本):200,000円以上

洗浄で改善しない場合は、リビルト品への交換がコストパフォーマンスに優れた選択肢となります。  

新品の純正インジェクターは1本あたり50,000円以上することもあり、4本交換すると部品代だけで20万円を超える高額な修理になります。  

エルフの故障を減らすための「日常メンテナンス」

高額な修理費用を発生させないためには、日々の基本的なメンテナンスが最も効果的です。

専門的な知識がなくても、運行前に数分間チェックするだけで、トラブルの予兆を早期に発見できます。

  • エンジンオイルの量と汚れの確認
  • タイヤの空気圧と摩耗の点検
  • バッテリー液と冷却水の確認

これらの簡単な点検を習慣にすることが、結果的に大きな出費を防ぎ、安全な運行につながります。

誰でもできる日常メンテナンスのポイントを、くわしく見ていきましょう。

エンジンオイルの量と汚れの確認

エンジンオイルの点検は、エンジンを守るための基本中の基本です。

オイルレベルゲージを抜き、オイルが規定の範囲内にあるか、ひどく汚れていないかを確認します。  

  • オイルレベルゲージで量を確認
  • ゲージの先端に付着したオイルの色と粘度を確認
  • DPD車特有の注意点も確認

特にDPD装着車では、再生不良によりオイルに燃料が混入し、オイル量が増えることがあります。  

オイルレベルゲージの上限マークを超えている場合は、重大なトラブルの前兆であるため、すみやかにオイル交換が必要です。

タイヤの空気圧と摩耗の点検

タイヤは、トラックの安全走行を支える非常に重要なパーツです。

空気圧が適正でないと、燃費の悪化や偏摩耗、最悪の場合はバーストを引きおこす危険があります。  

  • タイヤの接地面のたわみ具合を目視で確認
  • 溝の深さが十分にあるかスリップサインで点検
  • ホイールナットに緩みがないか確認

特に、ホイールナットの緩みは車輪脱落という重大事故につながるため、ハンマーで軽く叩くなどして音を確認する点検が推奨されています。  

日頃からタイヤの状態に気を配ることが、事故を未然に防ぎます。

バッテリー液と冷却水の確認

バッテリー液と冷却水(クーラント)の量も、運行前に必ず確認したい項目です。

どちらも不足すると、エンジンの始動不良やオーバーヒートといった深刻なトラブルの原因となります。  

  • バッテリー本体の側面にある上限・下限線の間に液面があるか確認
  • 冷却水リザーバータンクの液量が規定範囲内にあるか確認
  • 液量が急激に減っている場合は漏れの可能性あり

これらの液体は走行中に少しずつ蒸発しますが、急激に減る場合はどこかで漏れが発生している可能性があります。  

異常を発見した場合は、早めに整備工場で点検を受けるようにしましょう。

エルフの「リコール情報の有無」

自動車メーカーは、設計や製造段階の不具合が発見された場合、リコール(回収・無償修理)を実施します。

エルフも過去にいくつかのリコールを届け出ており、所有する車両が対象になっていないか確認することは重要です。

  • エンジン制御プログラムと燃料装置関連
  • 前輪緩衝装置(リーフスプリング)関連
  • その他のリコール情報

リコールの修理は、メーカーの責任において無料で行われます。

自分のトラックの車台番号をいすゞのウェブサイトなどで確認し、未対応のリコールがないかチェックしてみましょう。

エンジン制御プログラムと燃料装置関連

2020年1月に届け出られた大規模なリコールでは、4JJ1型エンジンに関する2つの不具合が対象となりました。  

一つはエンジン制御プログラムが不適切で、ピストンに亀裂が入るおそれがあるというものです。  

  • 対象:4JJ1型エンジン搭載車
  • 不具合内容①:ピストン亀裂による走行不能のおそれ
  • 不具合内容②:燃料パイプ亀裂による燃料漏れのおそれ

もう一つは、燃料のサプライポンプを取り付けるボルトの締結力が不足しており、燃料漏れにつながる危険があるという内容でした。  

これらの不具合は、走行不能や車両火災にもつながりかねない、非常に重要なリコールです。

前輪緩衝装置(リーフスプリング)関連

2025年6月には、前輪のサスペンションであるフロントリーフスプリングに関するリコールが届け出られました。  

特定の架装(バンや冷凍車など)で高負荷な使用を続けた場合、スプリングが折損するおそれがあるというものです。

  • 対象:高重心・高積載の架装車両
  • 不具合内容:リーフスプリングが折損し、走行安定性が損なわれるおそれ
  • 改善措置:対策品のリーフスプリングに交換

この不具合は走行の安定性に直接関わるため、対象車両の所有者はすみやかに修理を受ける必要があります。

このリコールは、過去のリコールの対象範囲を見直して、新たに届け出されたものでした。  

その他のリコール情報

上記以外にも、エルフはさまざまなリコールを届け出ています。

近年では、電動パーキングブレーキの制御プログラムに関するものや、EV(電気自動車)モデルの駆動用モーターに関するものなどがありました。  

  • 電動パーキングブレーキの不具合
  • エルフEVの走行不能のおそれ
  • 冷凍機架装車のアイドルプーリーに関する不具合

これらの情報は、国土交通省やいすゞ自動車の公式ウェブサイトでいつでも確認することができます。  

中古車を購入する際にも、対象のリコールがきちんと実施されているかを確認することが大切です。

>>最新リコール情報をみる

エルフの「修理か売却かの決め手」

エルフに高額な修理が必要になったとき、「修理して乗り続ける」か「売却して乗り換える」かは非常に悩ましい問題です。

感情的に判断するのではなく、いくつかのポイントを冷静に比較検討することで、最適な選択が見えてきます。

  • 修理費用と車両の市場価値を比較する
  • 車体の骨格(フレーム)の損傷の有無
  • 今後の維持費と使用計画を考慮する

これらの基準をもとに総合的に判断することが、経済的な損失を最小限に抑えるためのカギとなります。

それぞれの決め手について、くわしく見ていきましょう。

修理費用と車両の市場価値を比較する

最も基本的で重要な判断基準は、修理にかかる費用と、そのトラックの現在の市場価値との比較です。

もし修理費用がトラックの市場価値を上回ってしまう場合は、経済的な合理性から売却を検討するのが一般的です。  

  • まずは正確な修理見積もりを取得する
  • 次に、複数の買取業者に現在の状態での査定を依頼する
  • 「修理後の価値」と「修理費用+現在の査定額」を比較する

例えば、修理に50万円かかるが、修理後の市場価値が30万円にしかならないのであれば、修理は得策とはいえません。

正確な金額を把握するために、必ず複数の専門業者から見積もりや査定をとることが重要です。

車体の骨格(フレーム)の損傷の有無

事故や故障が、トラックの骨格部分であるフレームにまで及んでいるかどうかは、非常に重要なポイントです。

フレームを修復した車は「修復歴車」と扱われ、たとえきれいに直しても市場価値が大幅に下落します。  

  • フレームの損傷は安全性と耐久性に影響する
  • 修復歴があると査定額が大きく下がる
  • 骨格部分の損傷は修理費用も高額になりがち

もしフレームに損傷がある場合は、高額な費用をかけて修理しても資産価値が大きく損なわれるため、売却を選択する方が賢明なケースが多いです。  

バンパーの交換やドアの板金といった、骨格に影響のない修理とは明確に区別して考える必要があります。  

今後の維持費と使用計画を考慮する

目先の修理費用だけでなく、そのトラックを今後どのくらい使用するのか、将来的な維持費も考慮に入れる必要があります。

走行距離が多い車両の場合、一つの大きな故障を修理しても、次々と他の部品が寿命を迎える可能性があります。  

  • 走行距離や年式を考慮する
  • 他の消耗部品(クラッチ、ブレーキなど)の状態はどうか
  • あと何年、そのトラックで業務を行う計画か

もし車両全体の老朽化が進んでいるのであれば、今回の修理を機に売却し、より新しい車両に乗り換える方が、長期的に見てコストを抑えられるかもしれません。  

ご自身の事業計画と照らし合わせて、総合的に判断することが大切です。

【知らないと損】10年落ちのトラックでも”驚きの高値”がつくワケ

乗用車の場合、10年落ち・10万キロ超えとなると、ほとんど価値がなくなってしまうのが一般的です。

しかし、トラックの世界では全く常識が異なり、10年以上経過した車両でも驚くほどの高値で取引されています。

  • 海外での圧倒的な需要
  • 高い耐久性とシンプルな構造
  • 新車不足と価格高騰の影響

この背景を知っておくことは、「修理か売却か」を判断する上で非常に有利に働きます。

なぜ古いトラックに価値があるのか、その理由をくわしく見ていきましょう。

海外での圧倒的な需要

日本の古いトラックが高値で売れる最大の理由は、海外、特に発展途上国での絶大な人気にあります。

「メイドインジャパン」のトラックは、壊れにくく耐久性が高いと、世界中で非常に高い評価を得ているのです。  

  • 優れた耐久性と信頼性
  • 燃費性能の良さ
  • 整備された道路が少ない地域でも活躍できる堅牢さ

日本のように厳しい車検制度がない国も多く、日本では役目を終えたような古いトラックでも、海外ではまだまだ現役で活躍できます。  

この旺盛な輸出需要が、国内の中古トラック市場全体の価格を力強く下支えしているのです。

高い耐久性とシンプルな構造

トラックは乗用車と異なり、そもそも数十万キロ、場合によっては100万キロ以上の走行を前提として設計されています。  

排気量の大きなディーゼルエンジンは、低い回転数で大きな力を出すため、エンジン自体の摩耗が少ないのが特徴です。  

  • 長距離走行を前提とした頑丈な設計
  • 耐久性の高いディーゼルエンジン
  • 修理しやすいシンプルな構造

また、基本的な構造がシンプルなため、最新の設備がない海外の整備工場でも修理しやすいというメリットもあります。  

このような、商用車ならではの高い耐久性が、年式が古くなっても価値を維持し続ける大きな要因となっています。

新車不足と価格高騰の影響

近年の世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱は、トラックの生産にも大きな影響を及ぼしています。

新車の納期が大幅に遅れるケースが増えたことで、すぐに業務に投入できる中古トラックの需要が急激に高まりました。  

  • 新車の納期遅延による中古車需要の増加
  • 原材料価格の上昇による新車価格の高騰
  • すぐに使える即戦力としての中古トラックの価値

新車の価格自体も上昇傾向にあるため、コストを抑えたい事業者にとって、中古トラックはますます魅力的な選択肢となっています。  

こうした市場環境の変化も、中古トラックの価格を高騰させる一因となっているのです。

エルフの中古を買うときの「注意点」

エルフは中古車市場での流通量も多く、うまく選べば非常にコストパフォーマンスの高い買い物ができます。

しかし、商用車であるトラックは、個体ごとの状態の差が乗用車以上に大きいため、購入時には慎重なチェックが不可欠です。

  • DPDの状態と過去の整備履歴
  • エンジン始動時の異音や白煙の確認
  • ミッションの動作確認

これらのポイントをしっかり押さえることで、購入後の思わぬ出費やトラブルのリスクを大幅に減らすことができます。

中古のエルフを選ぶ際の具体的な注意点を、くわしく見ていきましょう。

DPDの状態と過去の整備履歴

中古のエルフで最も注意すべき点は、やはりDPDの状態です。

購入を検討する際には、整備記録簿を確認し、過去にDPD関連の修理や交換が行われているかを必ずチェックしましょう。  

  • 整備記録簿でDPD関連の整備履歴を確認
  • 前オーナーの主な使用状況(市街地か長距離か)を質問
  • DPF洗浄済みなどの記載があるか確認

前オーナーが市街地での短距離輸送をメインにしていた場合、DPDに大きな負担がかかっていた可能性があります。  

DPDの状態は外から見ただけでは判断が難しいため、販売店の担当者にくわしく確認することが重要です。

エンジン始動時の異音や白煙の確認

エンジンの状態を確認する最も簡単な方法は、実際にエンジンをかけてみることです。

特に、エンジンが完全に冷えた状態からの「コールドスタート」で、異音や異常な排気煙が出ていないかを確認します。  

  • エンジン始動時に異音(ガラガラ音、キーキー音など)がないか
  • マフラーから異常な色の煙(白煙、黒煙)が出ていないか
  • アイドリングが安定しているか

マフラーからの白煙はオイル下がりや上がり、黒煙は燃料噴射系の不調を示唆するサインです。  

少しでも違和感があれば、購入を見送るか、専門家による詳細な点検を依頼するのが賢明です。

ミッションの動作確認

エンジンと並んで重要な動力伝達装置であるミッション(トランスミッション)のチェックも欠かせません。

必ず試乗を行い、変速がスムーズに行われるか、異音やショックがないかを確認してください。  

  • マニュアル車:ギアがスムーズに入るか、クラッチの滑りはないか
  • オートマ車:変速時に大きなショックやタイムラグがないか
  • 走行中に異音(うなり音など)が発生しないか

特に、変速時にガクガクしたり、エンジンの回転数だけが上がってスピードが乗らないといった症状は、ミッション内部に問題があるかもしれません。  

ミッションの修理は非常に高額になるため、入念なチェックが必要です。

よくある質問|エルフは本当に「故障が多い」のか徹底調査

  • ターボ交換の工賃は?(概算)
  • 吹け上がらない原因は?
  • オイル漏れのリコール情報はある?
  • 走行中エンストをおこす不具合はある?
  • 4JJ1エンジンの評判は?不調はある?
  • 4JJ1エンジンのリコール情報は?

ターボ交換の工賃は?(概算)

ターボ交換の工賃は、整備工場や車両のモデルによって異なりますが、一般的に50,000円から150,000円程度が目安です。

エルフの一部のモデルに採用されているツインターボの場合、作業がより複雑になるため工賃も高くなる傾向があります。  

  • シングルターボの場合:50,000円~
  • ツインターボの場合:100,000円~
  • あくまで部品代とは別の工賃の目安

ターボチャージャーはエンジンに付属する重要な部品であり、交換には専門的な技術が必要です。  

正確な費用については、必ず事前に整備工場へ見積もりを依頼してください。

吹け上がらない原因は?

エンジンがスムーズに吹け上がらない場合、複数の原因が考えられます。

エルフで最も多い原因は、DPDの詰まりによる排気効率の低下です。  

  • DPDの詰まり
  • ターボチャージャーの不具合
  • インジェクターの故障

ターボが正常に作動せず過給圧が不足している場合や、インジェクターが詰まり燃料をうまく噴射できていない場合も、加速不良の原因となります。  

これらの部品は相互に関連しているため、専門の診断機による正確な原因究明が必要です。

オイル漏れのリコール情報はある?

はい、過去に燃料漏れにつながる可能性のあるリコールが届け出られています。

2020年1月に届け出られたリコールでは、燃料サプライポンプの取り付けボルトが緩み、燃料パイプに亀裂が生じて燃料が漏れるおそれがありました。  

  • 2020年1月届出:燃料サプライポンプ取り付け部の不具合
  • サービスキャンペーン:サプライポンプ周辺のエンジンオイルにじみ点検
  • リコール対象かどうかは車台番号で確認可能

リコールとは別に、4JJ1エンジン搭載車を対象に、サプライポンプ周辺からのエンジンオイルにじみの有無を点検するよう促す「サービスキャンペーン」も実施されています。  

ご自身の車両が対象かどうか、いすゞのウェブサイトなどで確認することをおすすめします。

走行中エンストをおこす不具合はある?

はい、走行中にエンジンが停止する不具合も報告されています。

原因としては、EGRバルブの固着や、インジェクターの深刻な故障などが考えられます。  

  • EGRバルブの故障
  • インジェクターの不具合
  • ターボの破損による排気系の完全な詰まり
  • ロッカーアームシャフト関連のリコール

ターボが破損し、その破片や漏れ出たオイルが排気系を完全に塞いでしまうと、エンジンが停止することもあります。  

また、エンジンのロッカーアームシャフトのボルトが折損し、エンストに至るおそれがあるとしてリコールも届け出られています。  

4JJ1エンジンの評判は?不調はある?

4JJ1エンジンは、基本設計が非常に頑丈で耐久性が高いと評価されている一方、周辺機器のデリケートさも指摘されています。

エンジン本体の機械的な信頼性は高いですが、DPDやターボ、インジェクターといった補機類に不調が出やすい傾向があります。  

  • 良い評判:エンジン本体の耐久性、基本性能の高さ
  • 悪い評判:DPD関連のトラブル、補機類の故障が多い
  • 注意点:DPD対応の低アッシュオイルの使用が必須

特に、指定された低アッシュタイプのエンジンオイルを使用しないと、DPDの詰まりを誘発し、エンジンの不調に直結します。  

適切なメンテナンスを行っているかどうかで、エンジンの寿命や信頼性が大きく変わってきます。

4JJ1エンジンのリコール情報は?

はい、4JJ1エンジンは過去に複数の重要なリコールの対象となっています。

主なリコールとしては、エンジン制御プログラムの不具合や、燃料装置、動弁機構(ロッカーアーム)に関するものがあります。

  • エンジン制御プログラムの不具合(ピストン亀裂のおそれ)  
  • 燃料サプライポンプ取り付けボルトの緩み(燃料漏れのおそれ)  
  • ロッカーアームシャフト取り付けボルトの緩み(エンストのおそれ)  

これらのリコールは、エンジンの性能や安全性に直接関わる重大な内容です。

中古車を購入する際には、これらのリコール作業がすべて完了しているかを必ず確認することが重要です。

まとめ|エルフは本当に「故障が多い」のか徹底調査

  • 評判の真相:「故障が多い」という評判は主に排出ガス浄化装置「DPD」に起因し、エンジン本体は頑丈。
  • 主な故障:DPDの詰まり、ターボやインジェクターの不具合が代表的で、使用状況やメンテナンスが大きく影響する。
  • 修理費用:DPDやターボの修理は高額だが、リビルト品を活用すれば費用を抑えられる。
  • メンテナンス:正しいオイル選びや定期的な点検が、高額な故障を防ぐ最も有効な手段。
  • 中古車価値:海外需要などにより10年落ちでも価値が落ちにくく、資産価値が高い。
  • 購入・売却:修理費用と市場価値を天秤にかけ、冷静に判断することが重要。


エルフの故障に関する不安は、その原因と対策を正しく知ることで解消できます。

この記事で得た知識を活かせば、エルフはあなたのビジネスにとって、きっと頼れるパートナーになるでしょう。

もし、あなたのエルフの売却や乗り換えを少しでもお考えなら、その価値が驚くほど高い今が絶好の機会かもしれません。

まずは専門業者に査定を依頼し、その真価を確かめてみてはいかがでしょうか。

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